銀閣寺は、京都の東山にある室町幕府八代将軍足利義政の隠居所です。正式名称を東山慈照寺と言って、今や外国人観光客に日本の「わびさび」を伝える寺として人気です。
銀閣寺からは、夏のお盆の時期には如意ヶ岳(通称大文字山)に「大」の文字が焼かれる様子が見え、修学旅行の定番の見学地というだけでなく、観光スポットととしても人気のある場所ですよ。
京都 銀閣寺の歴史を知っておこう!
平安時代の中ごろに建てられた天台宗のお寺、浄土寺が応仁の乱の戦火の影響で焼失してしまったため、その跡地を利用して山荘(昔の別荘)として慈照寺が建てられました。
1483(文明14)年に将軍職を嗣子の義尚(室町幕府9代将軍)に譲った義政は、慈照寺で隠居に入りました。
義政はその後、1490(長享4)年1月に亡くなりますが、隠居してからの約6年、義政は慈照寺の施設の充実を図ろうと様々な建築技法や作庭の知識を近くにいた、臨済宗の僧侶や作庭家と共に考え、実現してきました。
その際できたのが、禅室西指庵(1485年建立)・東求堂(1486年建立、2016年現在国宝に指定)・弄清亭(1487年建立)・東山殿会所(1487年建立)・観音殿(銀閣:1490年建立)です。
特に観音殿(銀閣)を作る際、義政は祖父である義満が建てた鹿苑寺に足を運び、その作りを観察して、同じ造りを観音殿(銀閣)にも取り入れています。
東山殿は、苔寺の相性で有名な西芳寺を手本に建てられたと言われています。その後、江戸時代になって北山の金閣と相対する形で「銀閣寺」と呼ばれるようになりました。
また、慈照寺のような地味な趣の文化をのちに東山文化と言いました。
京都 銀閣寺の見どころ
銀閣寺の見どころはいくつかありますが、興味を引くものとしては、やはり庭園に注目するのが良いでしょう。
銀閣寺の庭は、善阿弥という作庭によって作られた枯山水で、白砂と岩が特徴的な形(円錐台形や波の形に見えるもよう)に配置されています。
これは江戸時代以降の発想であると言われていますので、室町時代の侘びさびに直接関係はありませんが、このような景色の石庭があるのが慈照寺だけですので、どんな景色に見えるか自分で空想を広げてみると良いでしょう。
また、観音殿は金閣寺をはじめ様々な寺院建築を、東山殿は西芳寺をそれぞれ手本にしていますので、雰囲気や工法の類似性を見つけてみるのもいいかもしれません。
また、慈照寺全体は金閣寺と同じく岩・池・橋など、様々な自然を取り入れた庭園が所々に見受けられますので、季節の花々を目で楽しみ、銀閣寺に影響を受けた東山文化の文化人たちの心を考えてみて下さい。
ちなみに慈照寺では定期的に坐禅会も行われていますので、第1日曜の午前中に日程が重なると坐禅体験を見学することもできるかもしれません。
2016年3月から5月5日まで、普段は公開されていない東求堂同仁斎が一般公開されています。日程が合うならこういった特別公開なども楽しむことができますよ。
京都観光で銀閣寺周辺のおすすめコース
銀閣寺周辺には、基本的に時間をかけて見学するような施設はほんの少ししかありません。
少ない見学施設の1つが、明治時代から昭和期まで活躍した日本画家白沙村荘と橋本関雪の記念館です。
こちらには豊富な日本画の資料と美しい庭園があり、もし慈照寺をスタート地点とする観光コースを立てるなら、こちらに立ち寄ることをおすすめします。
ですが、無理のない範囲で公共交通機関の利用も可能であることを仮定してコースを設定するなら、京都大学総合博物館(月・火休館) ⇒ 吉田神社 ⇒ 銀閣寺(慈照寺)がおすすめです。
京都大学
京都大学は、日本で最も高い教育水準を誇ると言われる国立の大学です。
その中でも総合博物館は、自然史・文化史・技術史のテーマ展示を行い、豊富な収蔵資料を一般に公開しています。特に技術史の展示は他では見ることのできない資料ばかりです。
吉田神社
次に立ち寄りたいのが吉田神社です。吉田神社の「吉田」家は、江戸時代日本全国の神社を管理するシステムを作りました。
現在吉田神社の真っ赤な社殿には、お菓子の神様や料理と包丁の神様など、他の神社ではちょっとお目にかかることのできない神様の社殿から、学問の神様を祀った天神社まで様々な神様がお祀りしてありますので、時間が許せばぜひ参拝したい場所です。
銀閣寺(慈照寺)
最後に銀閣寺の中にあるお茶席へ。こちらではお抹茶のセットを頂くことができますので、時間に余裕を持ってこちらで一休みするのもいいでしょう。
ちなみにお土産を買えるところと喫茶店なら、他にも周辺に何カ所かありますので、お土産を買いたい場合はコースの中に入ておいても大丈夫ですよ。
まとめ
銀閣寺(慈照寺)は、室町時代の侘しい寂れた味わいのある文化を現代に伝える素晴らしい見学地です。また、銀閣寺の目の前には、多くの有名な哲学者が歩いた「哲学の道」があります。
京都は決して若い人たちの興味をそそるものばかりではありませんが、哲学の道は静かで閑雅ごとをするにはもってこいの道です。あれこれ友人と議論しながら歩くのもいいものですよ。
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